東京さばい部

東京砂漠で生き残れ

ライブ・エイドのクイーン。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観ました。封切日に4DXで、その後IMAXでと、都合2回観ました。今のところ。

実は私、小3で初めて買ったロックのレコードはクイーンのセカンド、初めて観たロックコンサートは79年5月、札幌は真駒内アイスアリーナでのクイーン来日公演なので、クイーンにはそこそこ思い入れがあります。小学生時代は、虎柄のスキニーパンツを履いたドラマーのロジャー・テイラーに憧れてました。

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映画そのものはなんつっても2回観たくらいだし、よかったです。なんならもう1回観に行きたいくらいで。12月には爆音上映もありますしね。

爆音映画祭 オフィシャルサイト

映画のヒットとは裏腹に、時系列の入れ替えについて、否定的な評論も多いようだけど、何せ2時間強でクイーンヒストリーをやろうというのだし、まして娯楽映画ですんで、個人的には仕方あるまいなあと思います。

バンドの危機を乗り越え、ライブ・エイドで歴史に残るパフォーマンスを行う経緯は、映画で描かれているそれは、確かに事実に反するんですよね。でも全然いいよ。映画だし。

 

といいつつ、当時を知るオジサンとして、あれがどういうものだったのか、あのイベントを当時の音楽ファンはどう受け止めたのか、もうあちこちで散々書かれてる気もするけど、あくまで、私一個人の印象ではありますが、ちょっと書いてみようかなあと思います。

 

そもそもライブ・エイドとは。

ライブ・エイドの開催は85年の7月でしたが、先立つこと半年、84年のクリスマスあたりに「バンド・エイド」というチャリティープロジェクトがイギリスで結成され、アフリカ飢餓を救うためのチャリティーシングルをリリースしたわけです。発起人は、ブームタウン・ラッツボブ・ゲルドフと、ウルトラヴォックスのミッジ・ユーロ

当時はMTVの時代。イギリスのニューウェイブバンドがアメリカのチャート上位を独占し、「第2次ブリティッシュインベイジョン」なんて言われていた時代でして。従って参加ミュージシャンも、ライブパフォーマンスよりは、ミュージックビデオで人気が沸騰した、デュラン・デュランバナナラマカルチャー・クラブスパンダー・バレエフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、ポール・ヤング、そしてワム!などなど、当時のヤングに人気の、そういうメンツでありました。

その流れを受けて「60年代のウッドストックコンサート以来の大規模ライブイベント」として、再びボブ・ゲルドフの呼びかけによりライブ・エイドが開催される事になったのであります。

とは言え当時は、ライブパフォーマンスというものが軽視されていた時代。シンセサイザーやサンプリングマシンの進化、(従来よりは)安価に音楽制作が可能なATARI等のコンピューターの普及で、それほど楽器演奏を極めなくても音楽が作れるようになったこと、さらにはMTVの普及で、70年代だったら、イギリスのバンドがアメリカで人気を得るにはひたすら広いアメリカをツアーして回る必要があったのが、カッコよいビデオクリップを作ればそれでよくなった。そういう時代に大人気だったデュランデュランなんかは、果たしてこの人らは本当に楽器を演奏できるのか、ステージで弾いているのは本人なのか、なんてことをしょっちゅう言われていたわけですね。「ベーシストとドラマーいるけど、聴こえるのシンベとドラムマシンじゃん」みたいな。

そんなわけだから、当時からライブアルバムをリリースしてそれが売れていたようなU2みたいなバンドは別として、他の若手ミュージシャンはライブパフォーマーとしては正直、経験値も浅く、小粒でした。恐らくはそんな経緯から、またライブ・エイドバンド・エイド同様に、チャリティー目的のイベントだったゆえ、幅広い層にアピールする必要があり、ベテランの参加は必須だったわけです。

とはいえ、ツェッペリンもフーも参加バンドに名を連ねてはいたものの、この2バンドは実質この時点では解散していて、この日限りの再結成だったわけだし、ストーンズボブ・ディランなんかは、一番トレンドから外れていた時代でした。(そんな時期も乗り越えて、まだ現役でやってる、ってのが凄いとこなんですけどね。)ミック・ジャガーキース・リチャーズも、ストーンズとしてではなく別々で参加していました。要するに、名実共に大トリを飾れるバンドがいなかったと。

 

クイーンはどうだったのか。

それならば、クイーンは期待の星だったのか、というと、実は前年の84年に、南アフリカの白人リゾート地であるサンシティでコンサートを行っていたのですね。

アパルトヘイトが問題視され、国連から南アフリカへの文化的ボイコットが呼びかけられていた時期だけに、この行為は政治的・文化的に総スカンを食らったわけです。翌85年には「サンシティ」っていう、アパルトヘイト反対アーティストによるシングルが話題になったくらいでした。

ここは映画のイメージとも重なるのだけど、80年リリースの「ザ・ゲーム」、そこからのシングルカット「地獄へ道連れ」の大ヒット、そのあたりは初期〜中期の大袈裟なサウンドメイキングから上手く脱却して音楽トレンドには乗っていたけれども、次作で全面的にシンセサイザーを導入してディスコ調のサウンドに取り組んだ「ホット・スペース」が大コケしたりと、なんとなく「ロートルバンド」の匂いが漂い出したところでの南アフリカ騒動。

しかしその間も「レディオ・ガガ」ちゅう大ヒット曲はあったので、決して第一線から退いていたわけではないのだけれども、フレディの私生活のイメージも相まって「大御所」「儲かればどこでもコンサートやる」みたいなイメージがついていたのは否めないわけです。

 

そして始まったライブ・エイド

全世界84カ国同時衛星生中継てなわけで、僕もテレビにかじりつきで観てました。

まず、司会が南こうせつだったあたりで「うーん」と感じたのは否めません。まあ日本ローカル事情ですけども。で、エルヴィス・コステロビートルズカバー「愛こそはすべて」に「選曲ベタすぎでダサい」と感じたり、トンプソン・ツインズに「そこそこライブバンドじゃん。でも3人のメンバーのうち2人は大して楽器弾いてないし頑張ってるのボーカル兼ギターのトム・ベイリーだけだし、ていうかこいつらもビートルズカバーかよ」と思ったり、U2はかなり評判よかったし悪くなかったけども、客席の女の子引っ張り出してダンスしてキスするのはちょっとナルシストっぽくてキモイ(←この後これはU2ライブの定番になるんですけどね)などと感じたりしながら、まあ、観ておったわけです。そして。

 

クイーン登場。

上述の「ザ・ゲーム」くらいまでは熱烈なクイーンファンだったけども、80年あたりからはYMOによるテクノの洗礼を受け、それ以降もっぱらイギリスの若手バンドに夢中になっていた自分、クイーンのライブには全く期待していなかったわけです。そもそもクイーンが出る、って事を事前に知っていたかどうかも怪しい程度で。

ところが・・・通常本編ラス前で演奏されることが多い「ボヘミアン・ラプソディ」を、いきなり初っ端にかましての会場大合唱から、もう見事に持ってかれた。多分、世界中で中継を観てた人がこの瞬間、同じ気持ちだったんじゃないかな。そして「レディオ・ガガ」。ミュージックビデオでは、4人とエキストラで手拍子してたのが、いきなりウェンブリースタジアムの75,000人で展開されると、ヤベえヤベえと高まる気持ち。

そこから例の「リーロリロレーロ」を挟みつつ、「ハンマートゥフォール」「愛という名の欲望」「ウィーウィルロックユー」そして締めの「伝説のチャンピオン」。

そうだよ、ロックコンサートってのはこういうもんだ。MTVばっかり見てて忘れてたけど。観たもの者全員にそう感じさせた圧巻のパフォーマンスで、クイーンがライブエイドの主役の座をかっさらった瞬間でした。

 

というわけで、映画は確かに時系列と事実の入れ替えはあるものの、それを知っていて尚、楽しめる作品になっているのは、メンバー役の素晴らしい演技、特にフレディ役のラミ・マレックの、フレディが憑依したんじゃないかという熱演、これに尽きると思います。落ち目のクイーンが大舞台を大成功させるカタルシス、自分は、あの時テレビで観て感じた気持ちを、こういう形で再び劇場で体験できたってことが、ただただ凄いと思いました。史実のまま、その気持ちを味わうためには、何時間の尺が必要かわかんないですからね。実際、日本公演の様子を再現した場面含め、カットされたシーンを入れると、5時間分くらいあるらしいですよ。ライブ・エイドのシーンも全曲分撮ってるらしいですし。

そういったシーンの一部はきっと後日、特別編集版として公開されるか、DVDに収められるか、とにかくそれも楽しみです。

というわけで、映画、既に大ヒットなので私ごときがオススメするまでもないんですけど、安心して観に行って、感動して貰えればと思います。

 

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こないだまで2,000円切ってて、いつか買おうとしてたんですけど、映画公開後一気に在庫なくなりました。全世界的に売れてるんだろうなあ。これ、ライブエイドはともかく本編のモントリオール81年のライブが最高。キレッキレのフレディが観れます。「愛にすべてを」「プレイ・ザ・ゲーム」あたりは、観てるこっちが思わず笑っちゃうくらいフレディ絶好調。圧巻。間違いなくクイーン絶頂期。

 

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安定高値の国内盤。輸入盤と比べたら、ですけどね。内容的には十分おつり。しゃあないのでこっち買うか-。