東京さばい部

TOKYO SURVIVE 東京砂漠で生き残れ

何としてもこれはレコードで聴け、なアルバムたち

 あけましておめでとうございます。

 昨年末にこんなニュースがありました。

 今どきの音楽の消費のされ方は、ライトな音楽好きは無料ストリーミングサービス、少し音楽好きって人は有料サブスク、真の音楽好きは有料サブスクで、気に入ったものがあればレコードを買う、という感じなのかなと感じています。

 そんなわけで私自身が、Apple Musicでも聴けるのだけど、これはやっぱりレコードで聴きたいと感じて購入し、実際当たりだったレコードを数枚紹介します。

1. AMY WINEHOUSE / BACK TO BLACK (2006)

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 2006年発表の彼女のセカンドアルバムであり、彼女の生前最後のアルバムであり、名盤中の名盤。

 まずこれは、サウンドプロダクションが完全に「レコードで聴いてよ」と言ってますね。案の定、アナログ化しても綺麗に一枚に収まるサイズで。

 そしてCDやデジタル配信以上に、レコードで聴くと感じるのは、これはノーザンソウルなんかのサウンドもたっぷり受け継いだブリティッシュコンテンポラリーミュージックだ、ということをひしひしと感じるんですよね。まさにイギリスから出てくる音楽だわ、と。

 今回の趣向的に、内容とかアーティストについて詳しく語るのは割愛しますが、A面が「Love is a losing game」っていう世紀の名バラード曲で終わって、何とも言えない余韻に浸れる瞬間。最高かよ。

 EU盤と米国盤で何故かラストナンバーが違っているのですが、このEU盤の「Addicted」で終わってくれなきゃ絶対に締まらない一枚。

2. BRUNO MARS / 24K MAGIC (2016)

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 二枚続けてグラミー賞受賞作が続いたのは偶然か。いや、いいものはいいのです。

 2016年発表のサードアルバム。アース・ウィンド&ファイアーやマイケル・ジャクソン、そしてジェームス・ブラウンの美味しいところを抽出して、80年代サウンドで味付けしてという、これまた完全にプロダクションが「レコード前提」に違いないと言って過言ない一枚。正直、このアルバムもぶっ通しで九曲聴かされるとちょっとくどいんですよね。こうしてレコードで聴くと曲順、そしてA面B面のバランスも最高です。あと、近年プレスされたレコード作品全般に感じることですが「音がいい」。レコードからCDに移行したのって、時代の流れもあったのだけど、明らかに衰退期はレコードの音質が随分落ちてたんですよね。透けて見えるほど盤が薄かったり(ホントですよ)。マスタリングとかも随分適当だったのかも知れません。最近プレスされるものは本当に、仕事が丁寧に感じます。

 このアルバムのサウンドは腰に来ます。おっさんなのについつい踊ってしまいます。しかしそれも20分くらいが限界なので、やっぱりレコードが丁度いいんですよ。個人的にはレッド・ツェッペリン初期のレコードで見慣れたATLANTICロゴのレーベルが素敵な一枚。

3. TEARS FOR FEARS / THE SEEDS OF LOVE (1989)

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 昨年秋にリリース30周年リマスター盤が発売された、1989年発表の彼らのサードアルバム。

 確かレコードからCDへの移行期って87〜88年くらいで、このアルバムもオリジナルリリースはCDだったと思う(少なくとも自分はCDでしか買えなかった)んですが、実際レコード化されてみると、A面は26分と、レコードとしては結構ギリギリの長さ。ランアウト(最終曲の後の空白部分)もかなり短く、A面ラスト曲の余韻も早々に針が上がります。そこだけはちょっと惜しく感じます。

 彼らのセカンドアルバムも傑作なんですが、そちらはオリジナルリリース自体がレコードなので、今回はこちらを選びました。このアルバム、ボーカルが物凄く良くて、そのボーカルの良さと、特にA面二曲目「Badman's song」あたりに顕著な、バックの緊張感溢れる演奏が、レコードでは存分に味わえます。この感覚、文章で伝えるの難しいので、是非聴いてみて欲しいです。これが1989年なのも改めて驚きだし、2021年の今、全く古く感じないのは本当に凄い。

4. NICK HEYWARD / WOODLAND ECHOES (2017)

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 ヘアカット100のリードボーカルとして、デビューアルバムが世界的に大ヒットした後、早々に脱退してソロではネオアコの名盤「NORTH OF THE MIRACLE」をリリースし、その後はポツポツとソロアルバムを出すも1998年の「APPLE BED」以降ほぼほぼ目立った活動がなく、自主リリースで2006年にアルバムリリース後、2017年に十一年振りにリリースされた九枚目のソロ。内容は特大ホームラン。

 言ってみたら彼は、昔ながらのポップス職人・天才肌のソングライターだと思っているのですけど、やはりそういう音楽にはレコードのフォーマットが合っているんです。ヘアカット100、彼のファーストソロ、どちらもレコードで何回聴いたかわからないんですが、CDやデジタル配信でぶっ通しで聴かされても「コレジャナイ」感が半端ないのです。2017年に発表のこのアルバムも同じ。B面二曲目の「I can see her」とか、通しで聴くとうっかり聴き流しちゃうんですが、B面のこの位置で流れると滅茶苦茶素敵に響くわけです。A面六曲、B面六曲のこのフォーマットでこそ完成する、そんなアルバムです。

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自分の五十歳の誕生日の翌週にビルボード東京でニックのライブがあり、バースデーメッセージ入りのサインを貰いました。生きてるうちにニックと話が出来るなどと思っておらず、滅茶苦茶感動しました。

 

5. TAYLOR SWIFT / FORKLORE (2020)

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 これについては前回大いに書かせて頂いたのでそちらを参照頂きたく。名盤。

レコードの良さ(全くの私見ですが)

 Apple Musicで音楽を聴く場合、それはそれは簡単で、ポケットからiPhone出してライブラリから選んで再生ボタンを押した途端に音楽がスタートするわけです。レコードだとそうはいかなくて、ジャケットから丁寧に盤を取り出してターンテーブルに乗せる、スタートボタンを押すとゆっくり針が降りて数秒の無音の後にようやく曲が始まり、二十五分足らずでA面が終わる、そしたらお茶なんか飲み干した後に、レコードをひっくり返してB面をスタート。同じく二十五分足らずでB面が終了。それを手間と感じるかどうかはさておき、それぞれのタイミングに訪れる無音の時間、これが音楽をより引き立てるのですよね。

 同じ物理メディアであるCDならそんなに変わらないんじゃないの?という話ですが、CDはモノとして軽すぎるんですよね。あれをプレイヤーに入れるときの、プラスティックのカチャンカチャンという音、それだけで物凄く興醒めしてしまいます。そして、ぶっ通しで全編聴くには、正直長すぎるのです。90年代に名盤と言われるアルバムが少ないのは、それも大いに関係していると思ってます。

 レコードの音についてですが、個人的にはCDやデジタル配信よりも中低音域が豊かでいい音がする、と感じますけど、そこは正直、聴き分けられるレベルなのかどうかはわかりません。ただレコードで聴くということはその所作も、音も含めて、ただただ「心地よく」感じるのです。

 今レコードが売れているのは、単なる懐古主義ではなく、そのあたりの心地よさを、古い世代は再発見し、そして新しい世代は未体験の感覚として認識し始めてるのではないかと思います。

 個人的にはCDなんてものは無かったことにしてしまいたいくらいレコード最高、と思っています。

 ただレコードはやはり場所を食うので、厳選したコレクションに留めたいなあ、とは思うところです。まだ欲しいレコードは沢山あるのですけど。

 それではまた。

BACK TO BLACK [12 inch Analog]

BACK TO BLACK [12 inch Analog]

  • アーティスト:WINEHOUSE, AMY
  • 発売日: 2007/05/22
  • メディア: LP Record
 
24K MAGIC [12 inch Analog]

24K MAGIC [12 inch Analog]

  • アーティスト:MARS, BRUNO
  • 発売日: 2016/11/18
  • メディア: LP Record
 
Seeds of Love -Hq- [12 inch Analog]

Seeds of Love -Hq- [12 inch Analog]

  • アーティスト:Tears for Fears
  • 発売日: 2020/10/09
  • メディア: LP Record
 
WOODLAND ECHOES [LP] [Analog]

WOODLAND ECHOES [LP] [Analog]

  • アーティスト:NICK HEYWARD
  • 発売日: 2017/11/24
  • メディア: LP Record
 
folklore [1. the “in the trees" edition deluxe vinyl] [12 inch Analog]

folklore [1. the “in the trees" edition deluxe vinyl] [12 inch Analog]

  • アーティスト:Taylor Swift
  • 発売日: 2020/11/27
  • メディア: LP Record
 

令和2年のベストアルバム

テイラー・スウィフトフォークロア

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 当初、Apple Musicでずっと聴いていたのですが、あまりに良いのでレコードで買いました。

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美しいベージュのカラーレコード

 これ、レコードで聴くと、A面4曲、B面5曲、C面4曲、D面4曲の区切りが本当に心地よくて、さらに良さが増しました。

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 恐らくは今年世界で一番売れたアルバムになるだろうし、あちこちでベストアルバムにも選出されてるんだろうと思うので、詳しい内容はさておいて、個人的な感想を。

 以前記事を書きましたが、彼女のドキュメンタリー映画が今年公開になりました。

 映画の中で、30代を迎えて今後どういう作品を作ろうかというようなことを本人が語っていた矢先に、このコロナ禍の時代が訪れて。そういった全てが、作品という形に昇華されているのが聴いて取れる、見事なアルバムだと思います。凄く大らかで、こんなに繰り返し繰り返し聴きたくなるアルバムも、久しぶりだなあと。

 で、モノクロ写真を主としたアートワークも印象的なのですがこれ、ベス・ギャラブラントさんという女性フォトグラファーによるもので、彼女自身アーティストのアルバムアートワークを手がけるのは初仕事ということなので、大抜擢ですね。このパンデミックの最中、メイクや衣装もテイラー自身が行い、撮影も二人でやったとのこと。ベスさんは普段はカラーのフィルムで撮影しているようなのですが、今回テイラーからの提案で、モノクロを主とした模様。その味わい深いアートワークを大判で楽しめるのも、またレコードの良さですよね。

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クレジットはご覧の通り。DIYの極み

 今回のアルバムのスタジオライブの映像も、ほぼ全曲(一部除いて公式からではなさそうですが)YouTubeで観られます。

(2021/1/27追記 非公式のものはやはり消されてしまいましたね)

 

 ところで先日、このアルバムからたったの5か月しか経過していないのですが、サプライズで更なるニューアルバム「エヴァーモア」が発表になりました。彼女クラスのアーティストとなると通常であれば(アルバムを出せばプロモーションやらワールドツアーが始まるので)この間隔でのリリースはあり得ないと思うのですが、これもまた、コロナ禍でのミュージシャンの有り様を示している気もします。まあ彼女くらいフィジカルメディアのセールス力があってこそ、かもですが。

 個人的には本作ほどのめり込めるかしら、という内容に感じますが、来年発売予定のアナログ盤がまた綺麗なグリーンのカラーレコードなんですよねえ。買ってしまうかも知れません笑。

全世界絶賛:テイラー・スウィフト新作『folklore』のレビューを紹介

余談

 Amazonでアナログレコード注文したら、ビニールのパッキングは破れてるわジャケットの角は潰れてるわ背も破れてるわ表面は擦れて色がついてるわ、と散々な品が来たので、すぐ交換手続きをしたら翌々日には綺麗な品が届きました。神対応、と思ったけど、そもそも段ボールの中でレコードが遊ぶ状態で送ってくるような店、Amazonさんだけです・・・餅は餅屋、レコードはレコード屋がいい。

フォークロア(通常盤)

フォークロア(通常盤)

 
evermore [album deluxe edition CD]

evermore [album deluxe edition CD]

  • アーティスト:Taylor Swift
  • 発売日: 2020/12/25
  • メディア: CD
 

陸の孤島みたいな部屋から手紙をしたためる

 東京は先日コロナの感染者が800人を超えました。

 私個人は、3月からテレワークが続いていて、月に数度夜勤で出勤することもあるものの、基本的にはずっと部屋で仕事してます。

 休みの日も基本的に誰にも会わず、自転車で一人その辺を走ったり、時々買い物をしたり。

 緊急事態宣言が解けたあと、すっかり普通に戻って電車通勤している人も沢山いる一方で、私はまるで陸の孤島に暮らしているような気分になっています。

 さて先日、とあることで手紙を書く機会がありました。

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こういう便箋を買ってきて

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ベンはぺんてるのプラマン、ブルーブラックを使います

 

 プラマンは、筆圧に気持ちが乗り易いというか、何というか書いていて気持ちの込めやすいペンだなあと改めて感じました。新品でインクのフローがいい状態より、少しインクがなくなってきて、筆圧高めで丁度いいくらい、がとてもいい頃合いです。

 また、黒インクだと、個人的な印象で「声がデカい」というか、そんな感じがしちゃって、なのでプラマンのブルーブラック、定番色になってくれて本当によかった。何本かストックしておこう。ターコイズブルーも本当に綺麗な色なので、そちらも合わせて。

 その後も何通か手紙を書きました。今年叔父が亡くなって残された叔母に、珈琲を送るついでに手紙を添えてみたり。自分はコロナで陸の孤島に暮らしているような気分になりましたが、考えてみれば世の中もとより、そういう気分で生きている人は沢山いることに改めて気づかされたり。

 実家の母とは、姉のケータイのLINEでビデオ通話したり、昔では考えられなかった未来を感じたりもするのですが、その一方で、手紙を書くというのも、陸の孤島に暮らしているような気分の今だからこそ、しっくりくる感じもします。

エナージェルの最高峰、六角形エナージェル

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 年末ですね。

 ちょうど二年前くらいの今頃の発売だったはずですが、遅れること二年、ようやく先日、六角形エナージェルのブラウンを買いました。

ぺんてる ボールペン 六角形エナージェル 0.5mm BLN665D-AE グリーン
 

 この、ぺんてるエナージェルというボールペン、一般の文具店においては、エナージェルフィログラフィーというモデルが、一応の最高級モデルだと思いますが、実にその二倍ちょいの定価で、ぺんてる公式がAmazonだけでひっそり売っているモデル、それが六角形エナージェルです。

 改めて実物を見るといやはや、値段以上に高級感のある作りだなと感じました。

六角形エナージェルをまじまじ眺める

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アルミ製のボディ。キャップ取り外し式になっています。

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キャップを外すとこう。キャップは後ろに付けられます。

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ひとまずブルーブラック0.3mmのリフィルを付けました。

 アルミ製のボディはとにかく全体的に、仕上げの良さを感じます。

 外したキャップは、ペン軸の後ろに付けられるようになっているのですが、そうすると少しリヤヘビーになります。逆にキャップを付けないと、細身の軸であることも相まって、物凄く軽く感じます。

 キャップを付けて重い状態では、しっかり持たざるを得ないのですが、ただそれが、私の場合は書き辛く感じるわけではなく、却って綺麗な字が書けるモードになります。逆にサラサラッと書きたいときは、キャップなしの重量感がとても良いです。どちらの場合でも、他のエナージェルとは書き味がえらく違うように感じられて、エナージェル好きの私としても新鮮味があります。

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キャップの仕上げも物凄く綺麗。

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ペン軸後部も綺麗。綺麗しか言葉が出ない笑

 このモデル、販売形態がこういう形に限定されている理由はさっぱりわからないのですが、やはりエナージェル好きとしては抑えておくべきだろうと思いつつ二年経過。上述の「書き味の違い」も販路限定の理由なのかしら、と思うほど、別物感のある異端児モデルですが、質感は間違いなく最高峰。ひとまず私はペンケースのレギュラー入り決定。買って良かったです。

ところで最近のエナージェル

 エナージェル、直近の店頭で買えるモデルですと、以前販売されていたネコ柄モデルが、柄も新たに、再び発売されてますね。前回は、色合いは猫だけども模様は幾何学的、で、個人的にはこれ猫?と疑問符付きでしたが、今回は普通に猫らしい模様があるのと、このシリーズ、保護猫の譲渡活動を支援する「#とろねこチャレンジ」第二弾に参画しているとのことで、私も勿論いくつか買おうと思っております。

 それではまた。

パーカーのジョッターオリジナル

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1954年デビューのレトロフューチャー

 パーカーが1954年に発売したボールペン、ジョッター。今日に至るまで、大きめの文具売り場では定番商品として並んでいる名作ですが、最近よく売られていたのは、オールステンレスでエッチングが入っていたり、高級感のあるジョッターフライターあたり。オリジナルのステンレス+ポップカラーのプラスチックボディのやつは、長いこと販売されていませんでした(たまに黒軸のやつとかは見かけましたが)。しかし今日、たまたまLOFTに立ち寄ったところ、ジョッターオリジナルの名前で店頭6色展開されていたのを発見。その中から早速、グリーンを購入しました。

 調べてみたところ、2020年2月に販売スタートしてたみたいです。

 やっぱりこのステンレス+プラスチックのレトロモダンというかレトロフューチャー(死語)な雰囲気がたまらないです。

 今回の再販で特筆すべきは、インクカートリッジが油性ではなく、ゲルインクになったことです。

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古いモデルと比べてみる

 私、1983年UK製のジョッターを持っていますので、ちょっと比較してみましょう。

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黒です

 

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この部分の刻印で製造年がわかります


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羽根のデザインが変わってます


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ペン先のデザインは殆ど同じ


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83年モデルはノック部分にパーカーのマーク入り

 

カートリッジ替えるかどうするか

 所有していた83年モデルのジョッターには、所謂「パーカー互換」の、ジェットストリームの0.38mmインクカートリッジ(SXR-600-38)を入れて使ってました。ジョッターオリジナル用にもひとつ合わせて購入したのですが、パーカーのゲルインク、割と速乾性で黒々とした書きやすいインクだったので、暫くこのまま使ってみることにします。

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インスパイア系

 以前の記事で紹介したOHTOのパチジョッター(失礼)であるレイズや、三菱の70年代?デッドストックのボールペンと並べてみます。

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OHTOのボールペンにハマる(ハメられる)など。 - 東京さばい部

 これらに限らず結構似たデザインのボールペンをよく見かけるのは、工業デザイン的にやっぱ相当なインパクトがあったんだろうなあという気はします。実際えらい格好いいですしね。

 OHTOのレイズの方が少し長めで、正直持ったときのバランスがすごくよいです。だけどやっぱり、オリジンであるジョッターを手にしたくなるんですよね。歴史の重み強し。

 というわけで、持っていると「違いのわかるやつ」感のある、この小ぶりな1本、是非あなたのペンケースにも追加してみては如何でしょうか。

Vulfpeckのマジソンスクエアガーデンライブ(YouTubeで観られるご機嫌なライブ真打ち)

 皆様いかがお過ごしですか。

 私は相変わらずテレワークが続いてます。初めはそれこそコロナへの緊急措置で始まったような感じでしたが、半年以上も通勤電車に乗らない仕事を続けてみると、もう元に戻るのは嫌だな・・・と思う次第です。

 前置きはさておき。相変わらずライブが以前のような状態では開催が難しい中、私は未だにYouTubeで色々なライブ映像を観て楽しんでいるのですが、先日本当に素晴らしいライブ映像を見つけた、見つけたと言ってももう、9ヶ月も前に公開されてる映像なので、通の方々からすると「何を今更」って感じだと思うのですが、えらく感動してしまって、記事を書きたくてしゃあないので、書きますね。

 今は、私に限らずそういう人が多いと思うんですけど、もう、音楽雑誌とか買わないんですよね。Apple MusicやYouTubeが、自分の再生したものに合わせて、どんどん色んなものをサジェスチョンしてくれるので、今日日、新しい音楽との出会いは、そういったオススメを次から次からと観聴きして、気に入ったものをどんどん掘り下げるという感じです。で、つい先日YouTubeさんがオススメしてくれたこれ、本当にドンズバの、素晴らしいライブでした。

 ヴォルフペックというバンドの、ニューヨークはマジソンスクエアガーデンでのライブ映像です。

 まず、何らの先入観なしでこのライブ映像を観ただけでもう、私は完全にノックアウトされたのですが、余りに良過ぎて、このバンドについて色々調べれば調べるほど、このライブの特別さを知りました。

 まずこのバンド、レコード会社との契約がないのですよね。そして所謂ヒット曲、というものもない。プロモーション活動はYouTubeなどがメイン。そんなバンドが、NYは音楽の殿堂、日本で言えば武道館的な存在のマジソンスクエアガーデンをソールドアウトした、これはもう前代未聞なわけです。

 そこに辿り着くまでの経緯は他の記事などに詳しいので、そちらを見て頂くとして。

 とにかく楽曲が素晴らしいので、改めてスタジオテイクをApple Musicで聴いてみたりしたのですが、このマジソンスクエアガーデンのライブバージョンにはかなわないなあ。もう、生粋のライブバンドなんですよね。こうして生で演奏される楽曲群の雰囲気は、まあ70〜80年代フレーバーの古き良き、と言ってしまってもいい、正統派ファンク/ソウルミュージックなんですけど、今この時代において、そして彼らの風貌、言ってみたら普通のおっさんみたいな、それがこれをやる、という新鮮さもあるのでしょう。私と同世代の人に刺さるのは勿論、シティポップなんかを好む若い人にはかえって、新鮮に映るのではないかな。

 風変わりかつアットホームなステージセットは、彼らが日頃練習している地下室のファニチャーを持ち込んだもので、さらに全編iPhone1台のワンカットで撮られた(70年代っぽいフィルターのかかった)映像、ちょっと他では観たことのないようなアーティスト目線のアングルで、さらに魅力を増してくれています。

 しかし繰り返しになりますが、真の魅力は楽曲と、ズバ抜けたグルーブ感ですよね。2曲目の「コリーウォン」(ギタリストの名前そのまま)の半端ないグルーブ感、それに続く「マイファーストカー」の浮遊感のあるコード、気持ちよいリズム。続く「テスラ」の再び怒濤のグルーブ。前半のこの3連発が本当に素晴らしい。後半に入っては「バックポケット」での会場と一体となったゴスペルコーラス。本編ラスト?の「ディーンタウン」(これタイトルも楽曲も、ウェザーレポートの曲でジャコパス作の「ティーンタウン」のオマージュっぽい)のキメキメのブレイク。インストで、しかも口ずさむような親しみのあるメロディじゃないのに、客が演奏に合わせて大合唱してるのもいい。全体的に客の合唱が多いんですが、この日のためにコアなファンが世界のあちこちから集まった証拠でしょう。

 メンバーが目まぐるしく入れ替わり立ち替わりで、まるでザ・バンドの「ラストワルツ」でも観ているかのような感覚で、あっという間の1時間44分。

 このライブ、様々なストリーミングサービスで音源も聴けますが、アナログLP、バンドキャンプで売ってたんだなあ、もう売り切れてます。いつも気付くのが遅いんですよねえ。まあタイミングなので、こればっかりは仕方ない。この映像を公開してくれた事にとにかく感謝です。こんな素晴らしいライブ、滅多に観られるものではないですから。

 

 よくよく追っていくと何度も記事を書いているルイスコールとも共演してた。

 

 彼らのオフィシャルサイトはこちら

「女帝 小池百合子」を読みました。

 東京都知事選挙が告示されました。

 まさに、そんなタイミングで、この本がベストセラーになっています。

女帝 小池百合子 (文春e-book)

女帝 小池百合子 (文春e-book)

 

 著者である石井妙子氏の、四年に渡るリサーチの上に上梓されたこの一冊、間違いなく「今年度必読の一冊」でしょう。しかし、どう紹介したらよいのか、なかなか上手い言葉が見つかりません。

 まず、こんな興味深い人生を歩んでいる人間もそうそういないと感じます。善悪はさておき、この立志伝には私もただただ、深い感銘を受けたのは事実です。

 但しその一部始終を賞賛出来るか、と訊かれれば話は別で、一都民としては、小池百合子氏が現職都知事でなければ、また、今回の都知事選の立候補者でなければ、という条件付きとなるのは否めません。

 これだけの虚飾に塗れた人間が、幾度と大臣の座に就き、下手すれば総理の座すら手に入れかけたということ、そして尚、現職都知事であるということ。果たして「政治家になる資質」というのは何なのか。それは公約がどうであるとか、施政に対する態度とか、そんなことは全く関係なく「政治家になりたい」という非常に強い情念、たったそれだけで、その地位を掴むことが出来る、そんな事もあり得るのだと、まさにそれを証明する本でした。

 正直個人的には、学歴詐称があったとして、都知事の資格がないとはさほど思いません。公職選挙法には引っかかるのかも知れませんが。もし彼女に高い志があって、正しいことを行ってくれるのであれば、別に大したことではないのです。しかし、この四年間、彼女は前回の都知事選で掲げた公約を、ほぼ達成出来ていません。彼女にとって「政治家であること」というのは、一体どのような意味を持つものなのでしょうか。

 

 この本に書かれたことが、多かれ少なかれ事実であったとして、我が国のファクトチェックというのは、一体どうなっているのでしょうか。マスコミというのは何のためにいるのでしょうか。

 電通と政府の蜜月な関係。いち広告代理店である電通が、スポンサーとしての立場を利用し、あらゆるメディアを使って、イメージだけで、魔法のように既成事実を生み出してしまう。それは政治だけではなく、文化の面においても。もとより言われていたことではありますが、ネットで情報を得る人たちは、このコロナ禍で、その酷さを改めて認識しました。

 しかし、選挙戦における日本のマジョリティというのは、ネットを見ないような、恐らく本も大して読まず、テレビと井戸端会議だけが情報源の高齢者です。そして相も変わらず、彼らはイメージだけで、小池百合子氏に投票するのかも知れません。

 誰が誰に投票しようが、それは権利なので、その人の意思であれば仕方がないと、私は思っています。しかし果たして上述の通り、何らの疑問も抱かず、いわばテレビで洗脳され、イメージだけで投票する人の一票というのは、本当にその人の意思と言えるのか。甚だ疑問ですが、本当にそこはどうしようもない。そして選挙戦をコントロールする人たちというのは、そこをよくわかった上で、あらゆるイメージ戦略を立てるわけです。民主主義って何なんでしょう。民が主だとして、その民の多くに心がないとするならば。絶望しかないです。

 

 ともあれ、この本に記された彼女の生き様、これは本当に凄まじい、ひとりの人間のサバイバル術、サクセスストーリーでしょう。間違いなく名著と言えます。是非、読まれた方がいいと思います。

 

 どこで聞いたのか記憶にないですが、「人生の答え合わせは誰にも出来ない」というフレーズが、長いこと私の心の中に消えずに留まっています。この本に記された人生もまた、そのような人生なのかも知れません。

 この本を読んだ上で、彼女に投票する人がいるとしても、私は否定しませんが、相当な物好きと言わざるを得ません。そのように思います。