東京さばい部

TOKYO SURVIVE 東京砂漠で生き残れ

バス停の名前が気になっただけなのに。

ウチの近所に「まるしゅう」という味噌ラーメン屋があります。濃厚で重厚、油で熱々のスープ、太めの縮れ麺、札幌生まれの自分も納得の、本当に美味しい味噌ラーメンが堪能できます。オススメです。

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写真はまるしゅう味噌ラーメン、チャーシュートッピング

といって、今日の話の主役は味噌ラーメンではなく、そこの目の前にあるバス停の話です。

 

小金井市、「プール前」という名前の停留所

「まるしゅう」の目の前に、京王バスの「プール前」というバス停があります。プール前、という割にプールらしきものは何処にもなく、仮に昔、プールがあったのだとして、停留所の名前として未だに残るっていうのは、どんだけ素敵なプールだったのかね、と少しく気になっていたわけです。

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「プール前」

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振り向いても学芸大学コミュニティセンターとローソンしかない。

何年も気にしていた挙げ句、最近になってようやく調べ始めたところ、確かに昔、60年代くらいまでは、まさにここに水泳用プールがあったらしいのです。

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しかし、さらに遡って調べると、水泳用プールとなる前からここにはプールがあって、プールはプールでも「陸軍技術研究所の、上陸用舟艇や水陸両用戦車のテスト用のプール」だったらしいのです。

 

自分の知らない事実が明らかになってくると、気になって仕方ない性分。さらにネットを調べたところ、そのあたりの情報が小金井市文化財センター」にあるようだったので、行ってきました。

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浴恩館という建物が小金井市文化財センターになっています。建物は昭和3年、京都御所で行われた昭和天皇即位大嘗祭神職の更衣所を、(財)日本青年館が譲り受けて移築したもの、らしいです。

小金井市文化財センター

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ここいら一帯は「陸軍技術研究所」だった

文化財センターは、小金井で出土した土器やらなんやら、土地のゆかりの品や古地図、戦中戦後の生活用品などを陳列した資料館でして、一通り閲覧しながらも、目当ての資料をそそくさと探しました。すると、こんなマップを見つけました。

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上記マップの左側、土色の範囲が陸軍技術研究所の範囲、ということは、プール前の正面・新小金井街道を渡った学芸大学キャンパスの敷地から、向こうはそれこそ以前の記事でも書かせて頂いた「府中三億円事件第四現場」のあたりまで、そこには「まるしゅう」も自分の住むアパートも含まれるのですが、結構広大なエリアが陸軍技術研究所の敷地だったようです。というか、歴史散歩マップに何気に紛れ込んでいる感のある「三億円事件逃走車発見現場」、すごいな(笑)。

 

今も残る「陸軍技術研究所境界杭」

そして先のマップによれば、陸軍技術研究所の境界を示す杭が現存しているらしい。さっそく確認に向かいます。

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このへん、本当にしょっちゅう歩いてる辺りなんだけど・・・まさかこんなところにあったとは。

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確かに「軍」の文字が辛うじて確認できます。

回収された杭がひとつ、文化財センターに展示されてました。どうしてさっきの場所だけ杭が残されたのか、不思議です。

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小金井は桜の景勝地

大正時代から、小金井は桜の景勝地だったようで、家の近所の仙川沿いも、三億円事件第四現場の辺りまで、見事な桜並木が続くのですが、その桜も陸軍技術研究所の時代からあるようです。ということは、樹齢70年超の老木ですね

Vol.706 小金井市北西部の桜 | まろん通信

多摩方面は陸地が平坦なことなどから、軍の施設も結構あって、そんなことから空襲も結構激しかったと聞きます。東大和にも「旧日立航空機立川工場変電所」など建物がそのまま残されています。僕も行ったことありますが、アメリカ軍の戦闘機からの機銃掃射痕も生々しく、一見の価値はあると思います。

旧日立航空機立川工場変電所 - Wikipedia

というわけで、ふと気になったバス停の名前から、興味深い歴史に辿り着いてしまったと、そんなお話でした。今回も調べる過程で「へえあそこは火葬場だったのかあ」と、人によっては知りたくない事実を知っちゃったりもしましたけど、ま、興味がある人は調べると、自分の住む街に愛着が湧くかもです。自己責任で。

 

おまけ

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府中三億円事件第四現場の場所に、謎の犬の石像があるんですよね。何も書いてないし何の像なのか、全く謎なんです。猫かと思うほど尻尾は長いし、でも顔はコリー犬みたいだし。次はこの謎をちょっと追ってみようかなあと思ってます。誰か何か知らないかなあ。