東京さばい部

TOKYO SURVIVE 東京砂漠で生き残れ

粋な男なら「さらば青春の新宿JAM」は観とこうよ。

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何だか音楽映画がアツいような気がしてるのは僕だけですかね。

前回の記事で書いた「ボヘミアン・ラプソディ」を皮切りに、レディー・ガガ主演の「アリー」やら、ブラーのセカンドアルバムのタイトルをそのまま拝借した「モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ」やら、あとはクラプトンの映画も公開されるみたいだし。

そんな中、「ボヘミアン・ラプソディ」を公開中の新宿ピカデリーで、もうひとつ、最高な音楽ドキュメンタリー映画、やってます。あんまり良くて、ボヘミアン・ラプソディに引き続き2回観てしまいました。

昨年、30周年イヤーの締めで3月に武道館公演を大成功させたザ・コレクターズが、武道館後の12月に新宿の小さなライブハウス、そこは彼らが初めてワンマンライブを行った場所なのですが、そこが取り壊しになるという事で、さよなら凱旋ライブを行うまでの様子を軸として展開する映画「さらば青春の新宿JAMです。

映画『THE COLLECTORS~さらば青春の新宿JAM~』公式サイト

 

何回笑ったかわからない。

タイトルにしろあらすじにしろ、さぞかしノスタルジックな、センチメンタルな映画なのかな、と想像するじゃないですか。全然そんなじゃないです。はっきり言って、何回声を出して笑ったかわからない(笑)

コレクターズは何度かリズム隊のメンバーチェンジを行っており、今や当時の新宿JAMのステージにコレクターズとして出演していたのは、全曲の作詞作曲を担当するボーカルの加藤ひさし氏、そしてギターの古市コータロー氏のみとなっています(現ベーシストの山森氏も、当時シャムロックというバンドで新宿JAMに度々出演していたミュージシャンの一人ではありますが)。

その2人とも、そして当時を知るゲストコメンタリーの面々も、誰ひとりセンチメンタルな様子は皆無。先日シーズン8が始まった、月間40万ダウンロードの人気ポッドキャスト「池袋交差点24時」の雰囲気そのまま、笑い話も交えて、当時を振り返ります。

ザ・コレクターズのポッドキャスト「池袋交差点24時」

しかし、そんなサバサバした雰囲気の中、映画の進行に沿って徐々に浮き彫りになってくるのが、加藤古市両氏の固い絆。このふたりだったから、当時のモッズシーンから総スカンを食らいながらもメジャーデビューを果たした、このふたりだったから、30年以上も(大ヒット曲もないのに)ロックンロールバンド人生を続けて来れた。そういう姿が明らかになっていきます。川口潤監督、僕は今回初めて作品を拝聴しましたけど、素晴らしい編集だなと感じました。

 

笑ってたのに、不覚にもグッと来た。

ライブシーンは1986年のJAM、2017年のJAMをタイムマシンの様に行き来しますが、映画終盤、とある曲の、2017年のライブシーンがフルで流れます。

この曲は、古市コータロー氏がコレクターズのメンバーになって、最初に作られた曲なんですね。個人的には、コレクターズを初めて聴いた1987年リリースのインディーズ盤「ようこそお花畑とマッシュルーム王国へ」の中で、最初に好きになった曲だったな、という思い入れもあるのですけど、歌詞が、何とも訴えかけてくるのです。それが、18歳でこの曲を聴いていた時と同じように響いているのか、わからないのだけど、懐かしいとかではないんですよね。今のリアルとして響いてくる。

ボヘミアン・ラプソディにおいても、最後のライブエイドのシーンは全曲歌詞が出ていて、それら全てが、それまでのフレディの歩みを総括するような内容で、そこに驚き感動させられるわけですけど、この映画でのこの一曲もまさに、加藤ひさしという男の想いが凝縮されて伝わる場面で、不覚にもグッと来てしまいました。

そんな場面もありつつも、映画全体、決してノスタルジーに陥らないのは、ザ・コレクターズ自体が、そして登場する様々な人含め、現在進行形、現役感、そういうものが漲っているからなんだろうな。そう感じました。

 

成功って何だろう。

僕のように長年ファンやってます、という人よりは、ザ・コレクターズをこれまで聴いたことがない、知らなかった、そういう人にこそ、勧めたい映画なんですよね。特に、男だったら、何か感じるものがあるはず。なんていうか、生き方が、粋なんですよ。

この映画のもうひとつ大きなテーマが「MODS」ですが、加藤古市両氏にとって、モッドであるということは「粋」であるということと同義なのかなと。粋であるならば、ドレスコードがモッドじゃなくったっていい(逆に言えば、ドレスコードがモッドでも、粋でないんじゃダメだよ、と)そういう境地に、辿り着いているのかな。自分はそのように解釈しました。

ザ・コレクターズにはいわゆる大ヒット曲というものがないから、この映画、ロックのサクセスストーリーとしては映らないのかも知れない。ただ、間違いなく、人生のサクセスストーリーではあるなと、そんな風に感じています。

何を成功と思うかは人それぞれ。大金持ちになるとか、有名なセレブになるとか、そういうことではないけども、こういう成功もあるんだよ、と。

いや、まあ、もっともっと売れたいんだろうな、とは思うんですけどね。メジャーデビュー31年目の今年、23枚目のオリジナルアルバムもリリースされました。これ、キャリア何度目かのマストバイアルバムに仕上がってます。最高です。加藤氏は再来年還暦で(そんな歳に全然見えない)、さいたまスーパーアリーナのライブをやるなんて冗談ぽく言ってますけど、これは本当に実現して欲しいです。

 

というわけで、新宿ピカデリーでは12/6(木)まで、その後渋谷HUMAXシネマで一週間、さらに池袋シネマ・ロサで12/27(木)まで、さらにその後12/28(金)からはMOVIX昭島にて、また全国の映画館でも上映中なので、是非とも足を運んで頂きたいです。

2019年は、1/11(金)〜シアタス調布、1/25(金)〜アップリンク吉祥寺で上映されます。(2019/1/12追記)

女は「ボヘミアン・ラプソディ」、男は「さらば青春の新宿JAM」ってことでひとつ。

 

Blu-ray出ました。本編では案外少なかったライブの全長版が収録されてます。相当よろし。

 

YOUNG MAN ROCK

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