東京さばい部

東京砂漠で生き残れ

カセットテープ・リボーン

今、巷では「カセットテープ」が来ている。

音楽雑誌DONUTの最新号の特集は、その名も「カセットテープ・イズ・ノット」である。

DONUT VOL.9

DONUT VOL.9

 

そして中目黒には、あのAmazonを辞めてまで、カセットテープ専門のお店を開いた人がいる。

カセットテープが持つ新しい価値の創造。Waltzから発信される『アートプロジェクト』とは | リクルートライフスタイル

 

自分に関して言うと、完全なるカセットテープ世代であった。時代がレコードからCDになり、ついには配信になり、カセットの出番はなくなった。だがしかし。

 

実は去年、カセットテープをMP3に変換できるプレイヤーを買った。

これではないが、こんな感じの。

理由は、実家に山とある、カセットテープ音源を聴きたくなったからだ。

今年デビュー30周年を迎えたザ・コレクターズ、自分が10代の終わり頃、彼らの「ほぼ追っかけ」状態であった。その時に人づてで集まったカセット群が、実家に山ほどあった。

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そしてそれだけではなく、中高生時代に、毎晩FMラジオ番組「クロスオーバーイレブン」でエアチェック(※1)した音源たち。

※1・・・ラジオ番組もしくは番組内でオンエアされた曲の録音を行うこと!死語らしいが。

ちょっと昔話になるが、自分は札幌生まれ札幌育ちで、輸入盤は日本一号店である「タワーレコード札幌店」が頼りであったが、タワーはアメリカ発だったので、イギリス盤の扱いが少なかったのである。そして自分は生粋のブリティッシュロック育ちなので、話題の新人ブリティッシュバンドが出ても、音源を手に入れるのは非常に難しかった(その後CISCOが出来て、多少状況はよくなるんだけども)。

クロスオーバーイレブンは、そういうバンドの曲をよくかけてくれたのである。ロータスイーターズも、アイシクルワークスも、この番組がなかったら聴けてなかった。

閑話休題。で、プレイヤーは買ったものの、肝心のカセットを、なかなか実家に帰る暇がなくてですね、聴けなかったんですが、とうとう今年持ってきた。

カセットを入れて、再生ボタンを押す。A面の終わりまで聴く。余っているテープを早送りする。ひっくり返してB面を聴く。楽しい。MP3にする必要は全くなかった。

 

これが音楽を聴くということ。

iTunesで音楽を買って聴くようになって随分経つ。iTunesは便利だ。購入ボタンをタップすれば瞬時に再生できる。CDをたまに買っても、すぐさまエンコーディングして、iTunesに取り込んでしまう。もうそういうことになっている。

昔はどうだったのか。レコード屋でレコードを買う。勿論その場で聴くことは出来ないから大急ぎでチャリンコで家に帰る。袋からレコードを大事に取り出し(落として傷などついたら一大事なのだ)ステレオの前で正座しながら聴く。

外でも聴きたいから、カセットテープにダビングする。レコードをカセットテープに録音するのに、倍速とかそういう手はない。レコードの再生にかかる時間分、録音時間がかかる。

そうやってダビングしたテープのジャケットを、雑誌の切り抜きやらコラージュを駆使して自作する。そうやって出来た46分カセットの2本くらいとウォークマンをポケットに入れて持ち歩く。CDみたいにスキップ出来ないから、だいたいテープ順通りに再生する。

 

今の「音楽を聴く」という行為は、何かが足りない、というような言われ方をする事があるが、何かどころではない、改めてカセットテープを手にすると、配信の音楽を聴くというのは、体験として「無」に等しいと思った。

これはなかなか言葉で伝えるのが難しいが、手間がかかるからいい、という単純なことではなく、この行為こそが音楽を聴くということであった、と、そういう感じなのだ。

だからもしカセットテープに触れたことがない世代が、カセットテープに魅力を感じたとしたら、それはよくわかる。これは恐らく、全く新しい体験であろう。

 

そして今週カセットテープ音源を買いました

今週、ディアフーフの2年ぶりの東京でのライブを見に行った。今年発表したアルバム“The Magic”のUS通販、初回600枚限定で、彼らはカバー集のカセットテープ音源をおまけにつけた。僕はそれを買いたかったのだが、自分のクレカが海外で使えないやつ(最近よくある)だったので断念したのだ。

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それがライブの物販で売られていた、自分が手にしたのは最後の1本ということであった。もう目にする事は無いであろうと思っていたから、とても嬉しかった。

先ほど昔の札幌のレコード屋事情を書いた。今ならYouTubeを探せば、だいたいのものは見聞きできる。探す事に殆ど労はない。これはいいことだと思ってはいるのだけど、反面こうやって探したり会えなかったり偶然巡り会ったり、というのも、忘れていた感覚であったのだ。

ついでだがちょっと驚いたのが、このカセットが入っていたケースである。昔のプラスチックのやつではなく、薄いポリのソフトケースに入っている。このケースすごくいい。全部これに入れ替えたいくらい。

 

ところでラジカセはまだ売っているのか

これまたビックリであるが、東芝が今月2台の新製品を出していた。

TY-CDX9の方は、テープをUSB/SDに録音出来るのは今どきの仕様として、逆にUSB/SDから、もしくは外部入力から、テープに録音出来る。これは、、、またミックステープ作って人にプレゼントすることが出来るじゃないか。

ただ、ラジカセって、CDラジカセになってからだいたいこういう箱形になってしまったが、昔みたいな薄くて縦長デザインの方が、壁際や窓際に置けて、独り暮らしにはいいと思うんだけど、どうでしょう。

 

そんなわけで、約30年の期間をサバイバルして戻ってきたカセットテープ。僕と同世代もしくは歳上のミュージシャンならば、カセットテープに親しんで来た時代があったはず。是非新作をカセットテープでリリースして、その音楽体験を、若い世代に再び伝えて欲しいな、なんて思いました。

そして池袋パルコ本館では、12/27(火)まで「大ラジカセ展」やってるので、お見逃しなく。

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自分が中学校の時使ってたSANYO U4の赤もあった!これにポリスの「シンクロニシティ」のテープ入れて、夏のキャンプに持っていって聴いたっけなあ。泣ける。

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ついつい長くなっちゃった。それじゃまた。

 

ラジカセ for フューチャー: 新たに根付くラジカセ・カセット文化の潮流

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